陶磁器の撮影【2】《かぎりなく白いチャイナへのあこがれ》
"japan" は『漆器』、"china" は『磁器』。
イメージを利用しましたが、その根底にあったのはかぎりなく白いチャイナへの
あこがれ。現在ではあたりまえの白い食器が、ヨーロッパにおいて白磁はほんの
少し前まで、250年ほど前まで ”ホワイトゴールド” とも称されていました。
光源がLED1灯のみの実験的な写真ですが、オリジナルサイズの画像はこちらです。
http://www.flickr.com/photos/sparetimestudio/9624195435/sizes/o/
ついでにウェッジウッドをもうひとつ。
ユーランダーパウダー・ブルーです。
1903年 セオドア・ルーズベルト米国大統領の時代に、ホワイトハウス用として特注依頼を受け制作されたデザインが基になっています。ブルーのパウダーは職人の手描き。どこか青花(染付)の技法に似ています。
オリジナルサイズはこちら。
http://www.flickr.com/photos/sparetimestudio/9601875209/sizes/o/
陶磁器の撮影【1】《温故知新》
『倣南宋哥窯四方瓶』
結構なお点前で。
みなさんのブログ、たいへんおいしくいただきましたm(_ _)m
休憩中にお立ち寄りいただいた方、☆やコメントを残していただいた方、本当に
ありがとうございました。ようやく考えがまとまり、再開させていただきます。
3ヶ月前に何もわからず始めたブログですが、コメントをいただいたり購読してもらったりするうちに、いよいよわからなくなってしまいました。そこで、しばらく更新を休憩し、その間にみなさんのブログをたくさん読ませていただいて勉強しておりました。
興味深いお話しを、尽きることなく毎日更新するブログ。
その日の出来事を、フォトジェニックな写真を添えて紹介するブログ。
メインテーマをブレることなく、ひたすらに書き綴るブログ。
自身の創作を、エピソードといっしょに発表するブログ。
貴重な情報を、みんなに教えてくれるブログ。。。。。。。。。。。。
人それぞれ、ブログもそれぞれ(^^)
『美』にまつわる話に高精細画像を添えて【不定期】に更新させていただきます。
《掲載画像について》
今日から "flickr" にリンクした写真を掲載しています。このブログで使用するほとんどの画像は、特殊な機器で撮ったものです。今日の画像は「超高解像度スキャナバック」を使用して撮りました。まだ機器のテスト段階で写真はあまり面白くありませんが、超高精細画像にご興味がございましたら、ぜひ以下のオリジナルサイズをご覧ください。
ご注意: データサイズ 約65MB
http://www.flickr.com/photos/sparetimestudio/9575572788/sizes/o/
一服、します。
ご訪問いただきまして、ありがとうございます。
しばらくの間、更新は休憩させていただきます。
2013年8月10日 いつものお気に入りのちゃぶ台前にて
紙幣にみる、リベラルな合理主義
紙幣の話は、もういい。
まぁ、そう言わずに最後にもう一枚だけ紹介させてください。
画像はなかなか見つからなかった "Le Petit Prince" といっしょに入っていた、
オランダの10ギルダー紙幣です。
オランダへは一度しか行ったことがないのですが、TGVでリヨンからリールまで行って乗り換え、アントワープ(現在はアントウェルペンと言うんですね)を通過し
アムステルダム駅で下車してさっそく両替してもらったお札は、あまりにもポップで衝撃的でした。前回の「さがしもの、みつかる。」でいただいた「きなこさん」のコメントの通り、このお札にはオランダ人の文化と思想がふんだんに詰まっています。
オランダは王国です。そこには王様がいてロイヤルファミリーがいて。
専制君主制であれ、立憲君主制であれ、それらの国のお札のデザインは王様の肖像と相場が決まっています。しかしオランダのギルダーにあるのは幾何学模様とバーコード。個人崇拝に繋がる肖像を排除し、バーコードを印字することで会計業務を簡便化。複雑な幾何学模様は恐ろしく細かな線で構成され、ホログラムなどと合わせ偽造防止にとても有効です。
話は変わりますが、レンズの収差と解像度をテストするのに、これ以上最適な紙幣はありません。
前述のとおり、紙幣は偽造防止のため細い線で画を描きます。しかし、現在の高精細なプリンタであれば、例え細い線であっても容易に再現できるため、ホログラムや透かし、特殊なインク等のハイテク技術をもって相乗効果を高める方法がとられています。日本の紙幣でさえ、線の描写は肉眼で識別できる程度なのです。
この10ギルダー紙幣、紙幣専用の、それも、このギルダーだけを印刷するために特別に開発された専用の印刷機でなければ成し得ない、肉眼はおろか、4倍程度のルーペでは識別できない線が印刷されています。
お札自体の長方形と幾何学模様で歪曲を、肉眼で識別できない線は解像度を。
マクロで画面いっぱいに撮ったり、小さく撮ってレンズの限界を試してみたり。
お釣りでもらったであろう少額の、ちょっと使い古されたお札は思い出のためだけではありませんでした。
日本のお札に、天皇の肖像はありません。
でも、いい意味でオランダとはちょっと事情が違います。
でも、こちらもいい意味で理由があります。
さがしもの、みつかる。
ありました。
昨日のコンタクトシートと同じ箱、ポジやネガの現像済みフィルムがごっそり挟まれたファイルの間に封筒入りの各種外国紙幣が、さらにA4サイズの段ボールの封筒に入った状態で。
探しものをするとき、先入観が邪魔をすることが多々あります。それは色であったり、形であったり、大きさであったり。まぁ、見つかったのですからよしとしましょう。
2002年のユーロ導入で、それまで発行されていたヨーロッパ各国の通貨は統合され、現在では旧通貨を目にすることもほとんどありません。ヨーロッパは列車で移動するだけで数カ国を通り過ぎてしまうほど、小さな国が集まった地域です。
ドイツはマルク、フランスはフラン、イタリアはリラ・・・20代以下の方は歴史の授業で知るのでしょうね。日本の県境のような感覚で国境を越えられるのに、下車するたびの両替はとても面倒でした。
かわいいお札とは、この「星の王子さま」のことです。
この50フラン紙幣は1992年に発行され、ユーロ通貨への切り替えで姿を消してしまいました。その後、2012年で通貨としての経済的な価値を失い、ただの紙切れとなってしまいましたが、"Le Petit Prince" だけは交換せずに記念にとってある方も多いと思います。(私はたまたま持っていました)
ブログのテーマに沿って紙幣の細かな印刷技術からスキャナの性能やレンズの解像度について書こうと思っていたのですが、また別の機会に。
うわばみは、発行年によって移動するのだそうです。
さがしもの、みつからない。
少し前に書いた「フォーカスの調整」で外国紙幣のことに触れ、そう言えばかわいいお札があったなぁ〜と思い出し撮ってみようと探したのですが、
ない、ない、ない、どこにもない(-_-;)
探しものをすると目当ての物は見つからず、でも関係ない物はいろいろ出てきて
「なんだ、これ?」
あっという間に時間だけが過ぎてしまいます。
お札をスキャンするつもりで機器を準備していたのですが、見つからないので今回は代わりにコンタクトシートのお話しを。
もう10年以上フィルムでの撮影をやっていませんが、実用的なデジカメが出現する以前はずっとフィルムでした。撮った写真をその場で確認できるデジカメと違い、フィルムは現像してみなければどんな風に写っているかわかりません。現像が上がってくるのは楽しみなのですが、同時に不安な気持ちもいっぱいです。RawデータをLightroomで・・・などという撮影後の加工がほとんどできないため、特にマニュアルでの撮影は絞りもシャッタースピードも構図もフォーカスも、偶発的なシャッターチャンスは全て一発勝負でした。時には36枚撮りのフィルムが全部ダメなんてことも。
大きく分けて、フィルムにはポジとネガの2種類があります。ポジフィルムはリバーサルフィルムとも言い、現像後はライトボックスの上に置いたフィルムを直接ルーペで覗きこんでピント等を確認します。これに対しネガフィルムは色が反転しているためフィルムだけではわかりづらく、プリントの前に画像のような「コンタクトシート」を焼いてもらって確認します。フィルムを印画紙に密着させてプリントすることからこう呼ばれ、コンタクトプリントとも言います。
当時はフィルムの一コマ一コマをルーペで注意深く覗いてピントを確認していましたが、コンタクトシートを高解像にスキャンし拡大画像をディスプレイ上で見れば、この10年間でジャストフォーカスの基準が10倍以上高くなった気がします。
美術工芸品の撮像【2】《石彫》
季節的に蓮の華の写真を載せていらっしゃるブロガーの方も多く、ちょっと違いますが、手元にあった硯をちゃぶ台の上で撮像してみました。こちらは華ではなく蓮の葉で、鮮やかな色彩こそありませんが、採掘された原石の皮や眼(がん)を意図的に配置して硯全体を彫刻しています。
このところ、メインテーマの刀剣・刀装具から脱線しがちです。そろそろブログの説明も変えなければなりません^_^;
【 端渓硯 】 横 約18cm x 縦 約12cm
日本にも赤間石、雄勝石、那智黒石など硯の材料となる石が採掘されていますが、文房四宝(硯・紙・筆・墨)のうち硯だけは中国産が勝ります。なかでも端渓硯は・・・
さて、ここから先のお話は専門家にお任せしましょう。
硯の裏側に『蔵硯齋蔵』と端正な楷・行書で文字が刻まれています。最初はこれをなんと読むのか・・・齋蔵さんのコレクションでは文字の順序がおかしく、近年に日本で彫られたものでもなさそうなので『齋』について調べたところ、
『齋』は整然とした様、神事において、物事をそろえること。
と、ありました。訓読みでは「つつし-む」「とき」「ものいみ」「いつき」と読むそうです。
『硯の蒐集は、ものいみの蒐集である。。。』かな?
なんとなく、なぜ書斎というのか、わかったような気がしました。
少しだけ撮像方法について。
オーバーヘッドタイプのスキャナは被写体をプラテンガラスに載せるのではなく、被写体に被せるようにして撮像します。暗室や特別な照明を必要とせず、今回のようにちゃぶ台の上でも簡単に撮れます。ピントの合う範囲は解像度にもよりますが、400dpiだと前後合わせて10ミリ程度が被写界深度範囲内に入ります。この硯の厚さは約19ミリありますので、ピクセル等倍で見た場合は葉の下がった左端の部分はアウトオブフォーカスとなり、ボケてしまいます。資料写真としては十分なクオリティーですが、学術的なアーカイブには不十分かもしれません。
(上の画像は縮小です。ピクセル等倍ではありません)
たたら
スタジオジブリの「もののけ姫」で「たたら」という言葉が広く知られるようになりました。映画での描写には誤解もあるのですが、それはさておき。
画像は日本刀専用の材料である「玉鋼(たまはがね)」で、日本古来のたたら吹きによって作られるとても貴重な和鋼です。製鉄方法は村下(むらげ)の指示のもと、大量の砂鉄と木炭を三日三晩(一代、ひとよ)、交互に炉内に装入し続け操業します。この結果、2〜2.5トンほどの「けら」と呼ばれる鉄の塊ができるのですが、日本刀の材料となる高品質な玉鋼は、そのうちの僅か1割ほどしかとれません。村下とはこの操業を執り行うリーダーで、技術保持者は2人だけです。
たたら吹きは昭和20年、終戦と同時に一度失われた技術ですが、昭和52年に国庫補助事業として復活しました。現在は毎年冬に二代〜三代の操業が行われ、刀匠への材料供給と技術の伝承がなされています。
画像の玉鋼は5~6センチに割砕かれたもので、重さは50〜90グラムほど。熱心な刀匠は直接現地へ赴き、時間をかけて作品の材料となる「鉄のカケラ」をひとつひとつ吟味します。
たたらについて興味のある方は、以下へどうぞ。
http://www.hitachi-metals.co.jp/tatara/index.htm
フォーカスの調整
特に彼のファンと言うことでもないのですが、毛沢東はその際立った風貌から肖像画に向いているようで、アンディ・ウォーホールも多くの作品を残しました。
紙幣は偽造防止のため、その国の最高の印刷技術をもって発行されます。技術水準が低い国では、自国の通貨を他国に依頼しなければなりません。日本の紙幣は紙の材質、印刷技術、その他全てにおいて世界一ですが、それでも偽札を使った事件がたまにニュースになります。
レンズの解像度とAFの正確さを調べるのに、身近にある「お札」はテスト撮影に最適です。しかし、前述の理由や法的な問題、それと日本の紙幣とは違ったデザインへの興味から、私は外国の紙幣を使っています。
カメラと違ってスキャナの場合は焦点距離が固定ですので、オーバーヘッドタイプに改造する際にフォーカスを変更する場合は、レンズとCCD基盤を移動させて調整します。その時に使っているのが、厚さを焦点距離に合わせたアクリル板と紙幣で、今回は中国の一元札です。紙幣の平面性を維持するため、表裏を透明と黒のアクリルで挟み込んでいます。
同心円と放射線、それにアイキャッチを入れることで瞳を立体的に表現しています。画像上で計ったところ、直径は1.7ミリでした。中国の印刷技術も悪くないようですが、偽札は市中いたるところに出回っています。