Spare Time Studio

刀剣・刀装具を中心とした高精細画像と『美』にまつわる話を綴る”空閑工作室”

建築・建造物の撮影【0】《オリンピックは、建築の祭典でもある。》

 

今週は、建築・建造物の撮影【0】と題して、2008年北京オリンピックのメインスタジアム、鳥の巣(Bird’s Nest)と水立方(Water Cube)の写真を掲載しています。オリンピックは「スポーツの祭典」と言われますが、同時に、国家の威信をかけた「建築の祭典」でもあります。

 

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オリジナルサイズはこちら。 http://www.flickr.com/photos/sparetimestudio/8976255088/sizes/o/

 

つい先日、2020年の開催が東京に決まりました。これから7年の間、様々な箱モノが同時進行で建設されていきます。中でもメインスタジアムとなる新国立競技場は世界的に著名な建築家によるコンペで、ザハ・ハディド氏の作品が選ばれました。面白いのは、これはまだデザインの構想であること。技術者は数々の難題に直面しながら、この斬新な大建造物を創り上げていきます。当初の予算は1300億円ですが、大幅に超えることは間違いありません。東京近郊にお住まいの方は、この世紀の大建築を完成するまで間近で記録するチャンスです。

 

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話は変わりますが、私は若いころ、ご縁があって建築家の戸田一郎先生にずいぶん可愛がってもらいました。残念ながら今は他界されて久しいのですが、建築について多くを教えていただいた恩師です。

エピソードのひとつ、1964年の東京オリンピックのために建設された代々木国立競技場について。言わずと知れた丹下健三氏の代表作であり、吊橋と同様の構造をした曲線が美しい、当時の最先端の建築です。この建物、竣工当時より雨漏りが酷く、まるで丹下氏の設計ミスのようになにかと物議になっています。確かに設計に無理もあったのでしょうが、根本的な問題は設計した建物が敷地に収まらなかったこと。丹下氏は敷地に収めるため、苦肉の策として建物の左右をずらすことで、なんとか敷地に収めますが、その歪みが雨漏りの主原因になったそうです。
戸田先生は「建物が敷地に収まらない設計なんて、最低だよ。ガハハハッ」と、どこか嬉しそうに高笑いされていました。その後の改修で、雨漏りはかなり改善されています。

 

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建設地にはそれまで占領アメリカ軍敷設があり、返還交渉が難航したことからようやく着工できたのがオリンピック前年の2月。竣工はオリンピック開催の僅か39日前という、考えられない突貫工事の末、世界中を魅了した国立代々木競技場が生まれます。おそらく、じゅうぶんな測量もできない状況下で設計を同時進行したのでしょうね。雨漏りがしても、私はこの建物が大好きです。

 

 

2枚目と3枚目の写真は、ネット検索でお借りしました。

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