美術工芸品の撮像【2】《石彫》
季節的に蓮の華の写真を載せていらっしゃるブロガーの方も多く、ちょっと違いますが、手元にあった硯をちゃぶ台の上で撮像してみました。こちらは華ではなく蓮の葉で、鮮やかな色彩こそありませんが、採掘された原石の皮や眼(がん)を意図的に配置して硯全体を彫刻しています。
このところ、メインテーマの刀剣・刀装具から脱線しがちです。そろそろブログの説明も変えなければなりません^_^;
【 端渓硯 】 横 約18cm x 縦 約12cm
日本にも赤間石、雄勝石、那智黒石など硯の材料となる石が採掘されていますが、文房四宝(硯・紙・筆・墨)のうち硯だけは中国産が勝ります。なかでも端渓硯は・・・
さて、ここから先のお話は専門家にお任せしましょう。
硯の裏側に『蔵硯齋蔵』と端正な楷・行書で文字が刻まれています。最初はこれをなんと読むのか・・・齋蔵さんのコレクションでは文字の順序がおかしく、近年に日本で彫られたものでもなさそうなので『齋』について調べたところ、
『齋』は整然とした様、神事において、物事をそろえること。
と、ありました。訓読みでは「つつし-む」「とき」「ものいみ」「いつき」と読むそうです。
『硯の蒐集は、ものいみの蒐集である。。。』かな?
なんとなく、なぜ書斎というのか、わかったような気がしました。
少しだけ撮像方法について。
オーバーヘッドタイプのスキャナは被写体をプラテンガラスに載せるのではなく、被写体に被せるようにして撮像します。暗室や特別な照明を必要とせず、今回のようにちゃぶ台の上でも簡単に撮れます。ピントの合う範囲は解像度にもよりますが、400dpiだと前後合わせて10ミリ程度が被写界深度範囲内に入ります。この硯の厚さは約19ミリありますので、ピクセル等倍で見た場合は葉の下がった左端の部分はアウトオブフォーカスとなり、ボケてしまいます。資料写真としては十分なクオリティーですが、学術的なアーカイブには不十分かもしれません。
(上の画像は縮小です。ピクセル等倍ではありません)