『撮影』と『撮像』
文化財のデジタル・アーカイブを目的とする場合、可能な限りありのままの姿を残す事が重要です。故に、このブログでは『撮影』と『撮像』の定義を使い分けています。
『撮影』はライティングの技術を駆使して陰影をコントロールし、レンズの被写界深度を巧みに利用してボケを加味するなど、多分に撮影者の感性と趣向が反映されます。これに対し『撮像』は、将来の研究目的に十分堪えられるよう、原寸大で印刷しても十分な解像度(300dpi以上)を保持しつつ、被写体の隅々まで精細に写し撮る事を指します。
大切に保存されてきた刀剣は1000年を経てなお、その輝きを失っていません。その一方で、長い年月の間に不幸にも所在が不明となってしまったり海外に流出するケースなど、国内の刀剣を取り巻く環境は年々厳しくなっているようです。また、鉄というデリケートな素材は、管理が行き届かなければすぐに錆びてしまいます。
『撮像』は、少なくとも精緻な資料としての画像データを恒久的に残します。