Spare Time Studio

刀剣・刀装具を中心とした高精細画像と『美』にまつわる話を綴る”空閑工作室”

刀装具の撮像【4】《魚子》

画像をご覧になって、あのテーマ曲を想い出された方も多いのでは。 家格によって、あるいは時代によって少しずつデザインに違いはありますが、三つ葉葵は徳川宗家・御三家・松平家の定紋で、大名・旗本の数を合わせれば他と比較して圧倒的に多く、そのため刀…

美術工芸品の撮像【1】《蒔絵と螺鈿》(再考)

暑さのせいか、作文ができなくて困っています(~_~;) 鼈甲に金蒔絵と螺鈿が施されたアンティークの、それにしても豪華な『櫛』を撮像しました。刀装具用に製作した専用機を使っての撮像ですが、被写界深度が狭く、ピントの調整が大変です。 この分野にはあま…

美術工芸品の撮像【1】《蒔絵と螺鈿》

刀装具専用として開発した専用撮像機はオーバーヘッドタイプであるため、厚みが10ミリ程度までであれば、多様な美術工芸品の高解像度撮像にも適しています。 ここ最近は、更新が思うように出来ませんm(_ _)m 掲載の写真についての本文は、近日中に書かせて…

古来、黄泉の国への入り口と言われているそうです。 2012年8月26日 那智勝浦町 とある古刹の表参道にて

刀装具の撮像【3】《離縁》

「りえん」ではなく、「はなれふち」と読みます。 刀装具のひとつに『縁頭』というものがあり、柄(つか)の両端を保護するパーツで通常は2個で一組なのですが、縁(ふち)と頭(かしら)のどちらか一方がない場合を「はなれふち」と言います。 幸いにも写…

ブラウン管の未来が気になります。 "Turtle" Nam June Paik, 1999

刀装具の撮像【2】《うっとり》

美しいものに魅せられて、ぼーっとするさまを「うっとりする」と言いますが、ここでの《うっとり》は金工技法のひとつで、前者とはイントネーションの違いで区別します。 刀装具とは鞘や鐔(つば)など、刀剣に付随するアクセサリーのことを指します。画像は…

刀剣の撮像【8】《解像度と被写界深度》

刀剣はドキュメントとは違い、立体です。仮に元重ね(厚み)が8ミリある刀剣の撮像をする場合、その半分の4ミリが被写界深度内に収まらなければ、拡大時にピンボケとなってしまい、鑑賞に堪えません。私の実験結果では、この限界が800dpiでした。ピント合…

影 踏 み

世界共通のようです。 2007年10月5日 イスタンブール ビエンナーレの会場で

忠 犬

ううん、ちょっと暑いだけ。 2007年10月1日 ヴェネツィア とある通りにて

刀剣専用撮像機の製作【7】《専用台の試作品》

専用台はアルミの板の長辺両端を『コの字型』に折り曲げて、強度とガイドレールの役割を持たせています。長辺の長さは120センチあり、この長さをベンダー加工してくれる工場も少ないのですが、『コの字型』に折り曲げてもらえる工場はもっと少なく、そこに公…

銀塩写真プリント

刀剣、いわゆる日本刀の中で『刀』に分類されるものは、刃長2尺3寸を定寸と呼び、中心(なかご)を含める総長は90センチ以上(例外もあります)です。長尺のため、これまでは大判インクジェット・プリンタで出力していましたが、先日、ようやく出逢ったプ…

天才でごめんなさい

はい、彼のことです。 "Aida Makoto" walking on the great wall, 2007

刀装具の撮像【1】《デジカメとスキャナの特性》

最近は2,000万画素を超えるデジカメも珍しいものではなくなりました。例えば2,400万画素を謳うデジカメの撮像素子は6,000x4,000もありますので、350dpiでA3ノビサイズの大きさまで対応できる計算となります。 しかし、小さなCCDやCMOSに無理やり詰め込んだ…

刀剣の撮像【7】《高解像度での記録》

オフセット印刷などの商業印刷では、写真の解像度は350dpiでの入稿が一般的です。これは線数175本の2倍...ここでは省略しますが、印刷目的であれば、原寸大で350dpi、拡大印刷の場合はそれ以上の解像度が求められます。 高解像度で撮像したデジタル画像は、…

日 光 浴

彼は日焼けしません。 "A-Cho" Marvin Minto Fang

刀剣専用撮像機の製作【6】《専用台の設計と試作》

スキャナ本体をオーバーヘッドで作動させることができても、読み取り範囲を超える長さの刀剣を撮像するには、画像の繋ぎあわせのため精巧に平行移動する機構を考えなければなりません。そこで、本体と組み合わせることで解決できる専用台の設計・試作をしま…

『撮影』と『撮像』

文化財のデジタル・アーカイブを目的とする場合、可能な限りありのままの姿を残す事が重要です。故に、このブログでは『撮影』と『撮像』の定義を使い分けています。 『撮影』はライティングの技術を駆使して陰影をコントロールし、レンズの被写界深度を巧み…

刀剣の撮像【6】《カラーでの撮像》

高度に研磨された刀剣は貴金属のような光沢があり、鏡のように周囲を映し込んでしまいます。このため、撮影自体も難しいのですが、カラーでの表現はさらに技術を必要とします。これまでに発刊された多くの刀剣書の写真が黒白であるのもそのためです。 玉鋼(…

刀剣専用撮像機の製作【5】《試作機》

逆さでの作動と焦点距離の調整ができた時点で、次は撮像台の設計・製作に触れなければならないのですが、すでに実機が稼働中ですので、この機種の試作段階での写真を掲載します。 画像右側の白い物体は市販のA4サイズのスキャナです。撮像台を挟みこむように…

刀剣の撮像【5】《鑑賞法との類似点》

刀剣は見所満載で、姿形→地金→刃文→中心(なかご、茎とも言う)の順序で鑑賞するのが一般的です。中でも光の反射でキラキラと輝く刃文は、まるで宝石や貴金属のような美しさがあります。長尺の太刀や刀を鑑賞する場合は袱紗等を持った左手で刀身を支え、光源…

刀剣専用撮像機の製作【4】《焦点距離の調整》

非接触で撮像するためには、ガラス面からある程度の距離が必要です。パソコン周辺機器として認識されることの多いスキャナですが、光がレンズを通りCCDに届くのはデジカメと同じです。であれば読み取りユニット内のレンズとCCD基板を前後に微移動させること…

刀剣の撮像【4】《カメラでの撮影》

この数年でスキャナによる撮像方法が広まりましたが、カメラによる撮影も行われています。初期の頃は黒の毛氈に刀剣を寝かせ、照明を当てて真上から撮るというシンプルなものでしたが、独自の工夫を重ね、より鮮明な写真を撮ることに成功しているフォトグラ…

矢 野 燿 大

PM2.5などの公害が大問題になっていますが、 2008年の北京は、嘘のような青空が広がっていました。 試合開始前の練習風景を、右翼後方のブルペンから眺めています。 2008年8月22日 北京 五棵松棒球場にて

Pedro Luis Lazo Iglesias

まるでプロレスラーのような巨漢がアンダーシャツもなしにユニフォームを羽織り、30cmはあろうかという超特大の葉巻を右手の人差指と中指に挟みながらブルペンに登場した姿は、とても現役のピッチャーには見えませんでした。 キューバの英雄、ペドロ・ラソ投…

刀剣の撮像【3】

長尺の刀や太刀の場合、造り込み(刀剣の構造、詳しくはWiki等をご参照ください)は鎬造りが一般的です。平造りの短刀であれば刀身をガラス面にほぼ平行に置くことができますが、より立体的な形状の鎬造りでは鎬地と平地のどちらか一方だけが接地するため、 …

刀剣の撮像【2】

市販のスキャナはそのほとんどがA4サイズですが、A3サイズの製品も販売されています。このサイズですと、寸延短刀までであれば直接ガラス面に載せて一度で撮像することができます。通常スキャナはガラス面にピントが合うように設計されていますので、刀身を…

刀剣専用撮像機の製作【3】

市販のフラットベッド・スキャナをオーバーヘッドタイプのように使用するには、逆さにして作動させなければなりません。もちろん各メーカーとも、そんな使い方は推奨していませんので、分解した時点からすべて自己責任です。 形状に違いはあるにしても、ガイ…

刀剣専用撮像機の製作【2】

フラットベッド・スキャナはコピー機のようにガラス面に書類や写真等の平面な対象物を置いて画像を読み取るのが本来の使い方です。中にはフィルム等の透過原稿に対応したものもありますが、それ以外の使い方をあまり想定していません。 スキャナは、読み取り…

時系列の整理

ちょうど2年前に、ふとしたきっかけで「刀剣の撮像とデジタル・アーカイブ」についての研究を始め、同時に業務用スキャナの性能比較調査等を実施しました。1年ほど前からは自身で専用機の設計・製作に取り組み、すでに数機種が稼働中です。 それぞれの専用…

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