Spare Time Studio

刀剣・刀装具を中心とした高精細画像と『美』にまつわる話を綴る”空閑工作室”

刀剣・刀装具の写真

刀装具の撮像【5】《露象嵌》

これは小柄(こづか)と言って、刀の鞘に収める刀装具の一つです。袋状になっており、ペーパーナイフのような小刀を差し込んで使用します。実際に紙を切ったりするのですが、司馬遼太郎さんは小説の中で、土方歳三が爪切りのように使う描写をしています。 丁…

折り返し鍛錬

久しぶりの更新です。 2014年3月24日 髙見國一 鍛刀場にて

刀職 白銀師 (しろがねし)

刀剣の製作は刀鍛冶だけではなく、研磨師や鞘師、塗師など様々な職方の手を経て完成します。日本刀が総合芸術作品と言われる所以です。 刀匠が製作した「できたてホヤホヤ」の刀剣は刀匠自らが荒研ぎをします。これを「鍛冶押し」と言うのですが、この状態の…

刀剣の撮像【10】《髙見太郎國一・その2》

刀剣には地域特性によって5つのグループ、すなわち山城伝・大和伝・備前伝・相州伝・美濃伝に分類することができます。これを五箇伝と言います。中でも備前伝は平安時代末期より多くの名工を輩出し、国宝・重要文化財に指定されている刀剣の数量は他を圧倒…

刀剣の撮像【9】《髙見太郎國一・その1》

髙見太郎國一は河内國平氏(奈良県無形文化財)の一番弟子で、師匠のもと7年余の厳しい修行を終えたのち1999年に独立、兵庫県佐用町に鍛刀場を構えて日々創作活動に励んでいます。 お待たせしました。 ようやく一振、現像・加工処理が終わりました。 表「播…

刀剣の撮像【0】

ブログを開始する前は、画像ををアップすることに少なからず抵抗がありました。フィルムからプリントしたものを観てもらうのとは違い、デジタル・データは簡単に複製することができます。画像を小さくしたり、ウォーターマークを入れるなどの対応策はあるの…

たたら

スタジオジブリの「もののけ姫」で「たたら」という言葉が広く知られるようになりました。映画での描写には誤解もあるのですが、それはさておき。 画像は日本刀専用の材料である「玉鋼(たまはがね)」で、日本古来のたたら吹きによって作られるとても貴重な…

刀装具の撮像【4】《魚子》

画像をご覧になって、あのテーマ曲を想い出された方も多いのでは。 家格によって、あるいは時代によって少しずつデザインに違いはありますが、三つ葉葵は徳川宗家・御三家・松平家の定紋で、大名・旗本の数を合わせれば他と比較して圧倒的に多く、そのため刀…

刀装具の撮像【3】《離縁》

「りえん」ではなく、「はなれふち」と読みます。 刀装具のひとつに『縁頭』というものがあり、柄(つか)の両端を保護するパーツで通常は2個で一組なのですが、縁(ふち)と頭(かしら)のどちらか一方がない場合を「はなれふち」と言います。 幸いにも写…

刀装具の撮像【2】《うっとり》

美しいものに魅せられて、ぼーっとするさまを「うっとりする」と言いますが、ここでの《うっとり》は金工技法のひとつで、前者とはイントネーションの違いで区別します。 刀装具とは鞘や鐔(つば)など、刀剣に付随するアクセサリーのことを指します。画像は…

銀塩写真プリント

刀剣、いわゆる日本刀の中で『刀』に分類されるものは、刃長2尺3寸を定寸と呼び、中心(なかご)を含める総長は90センチ以上(例外もあります)です。長尺のため、これまでは大判インクジェット・プリンタで出力していましたが、先日、ようやく出逢ったプ…

刀装具の撮像【1】《デジカメとスキャナの特性》

最近は2,000万画素を超えるデジカメも珍しいものではなくなりました。例えば2,400万画素を謳うデジカメの撮像素子は6,000x4,000もありますので、350dpiでA3ノビサイズの大きさまで対応できる計算となります。 しかし、小さなCCDやCMOSに無理やり詰め込んだ…

刀剣の撮像【7】《高解像度での記録》

オフセット印刷などの商業印刷では、写真の解像度は350dpiでの入稿が一般的です。これは線数175本の2倍...ここでは省略しますが、印刷目的であれば、原寸大で350dpi、拡大印刷の場合はそれ以上の解像度が求められます。 高解像度で撮像したデジタル画像は、…

刀剣の撮像【6】《カラーでの撮像》

高度に研磨された刀剣は貴金属のような光沢があり、鏡のように周囲を映し込んでしまいます。このため、撮影自体も難しいのですが、カラーでの表現はさらに技術を必要とします。これまでに発刊された多くの刀剣書の写真が黒白であるのもそのためです。 玉鋼(…

刀剣の撮像【5】《鑑賞法との類似点》

刀剣は見所満載で、姿形→地金→刃文→中心(なかご、茎とも言う)の順序で鑑賞するのが一般的です。中でも光の反射でキラキラと輝く刃文は、まるで宝石や貴金属のような美しさがあります。長尺の太刀や刀を鑑賞する場合は袱紗等を持った左手で刀身を支え、光源…

刀剣の撮像【4】《カメラでの撮影》

この数年でスキャナによる撮像方法が広まりましたが、カメラによる撮影も行われています。初期の頃は黒の毛氈に刀剣を寝かせ、照明を当てて真上から撮るというシンプルなものでしたが、独自の工夫を重ね、より鮮明な写真を撮ることに成功しているフォトグラ…

刀剣の撮像【3】

長尺の刀や太刀の場合、造り込み(刀剣の構造、詳しくはWiki等をご参照ください)は鎬造りが一般的です。平造りの短刀であれば刀身をガラス面にほぼ平行に置くことができますが、より立体的な形状の鎬造りでは鎬地と平地のどちらか一方だけが接地するため、 …

刀剣の撮像【2】

市販のスキャナはそのほとんどがA4サイズですが、A3サイズの製品も販売されています。このサイズですと、寸延短刀までであれば直接ガラス面に載せて一度で撮像することができます。通常スキャナはガラス面にピントが合うように設計されていますので、刀身を…

高精細全身等倍写真

ここでは小さな画像しか載せることができませんが、下の写真は16bit (color 48bit) TIFF 800dpiで撮ったものです。表裏で6枚のカットを繋ぎあわせ、元画像のサイズは約1.6GBあります。最終的に高精細等倍プリント出力を目的としていますが、デジタル・デー…

新作刀

まだ銘も切られていない新作刀を撮像しました。姿形が美しく、鎬筋まで届く重花丁子がいっそう華やかです。最高の研磨が施されています。 ずっと迷っていましたが、本日ブログ・デビューです。 これから少しづつですが、撮像方法や写真などを紹介していきた…

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